手を当てて身ごもる手孕村の古伝
どんな伝承か
浄瑠璃『十二段草子』の荒血山の由来では、志賀寺の上人が京極の御息所の手を取って自分の胸に三度押し当てただけで、御息所が身ごもったことになっている。著者は、手を当てただけで子を宿すというこの部分は、近江国の手孕村に伝わる古い伝えと混ざり合ったものだと指摘している。手孕村の伝えそのものの筋は書かれていない。
原典より
その時、京極の御息所は年十七、上人、その御手を執ってわが胸におし當てること三たびにして、すなはち懐胎なされたと謂ふのは、近江國手孕村の古傳との混淆であるが、…—— 福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。