頭の白い子・頭白上人の母お篠
どんな伝承か
常陸新治郡に伝えている話。石崎村(佐谷村ともいう)の佐源次の妻お篠が、出産のため実家へ行く途中で殺された。夫は妻の菩提を弔うために巡礼に出て五年、隣村まで来ると団子屋の婆から、毎晩のように若い女が二文銭を持って団子を買いに来ると聞く。所を聞けば石崎村、名を聞けばお篠と答えるという。幽霊の後をつけると藪の中に横穴があり、その中で子供が泣いていた。その頭髪は雪のように白かった。今は菩提所の東光院が引き取って養育しているという。佐源次はわが子と知って寺へ駆けつけ親子対面をした。この子が後の頭白上人である。
原典より
石崎村(佐谷村とも)の佐源次の妻のお篠が、出産のため實家へ往く途中で殺された。—— 福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
福井縣鄕土誌 民間傳承篇(中塩清之助(編)・福井縣鄕土誌・1939年(昭和14年))
『福井縣鄕土誌 民間傳承篇』は、福井市立実科高等女学校の郷土誌第二輯として教諭中塩清之助が編み、昭和十四年二月付の学校長金岡正孝の序を巻頭に置く。丹生郡の名、哭女、越前萬歳、仏の舞、幸若舞、猫塚、隠れ里、子育て幽霊、愛発の関、弁慶譚、八百比丘尼、水の神女譚を、古文献や他地方の類例と照らして論じる。生徒が集めた県下の昔話は類話をA・Bなどに分けて並べて解説を付し、校正者大村四朗の跋を添える。