門日に青竹を伐って鉈が滑った左手の傷
どんな伝承か
昭和六〇年頃のこと。大分県大分郡野津原町大字入蔵での話である。一月一六日は門日、すなわち忌む日と知りながら、語り手は県民の森に入り、枯木を薪に結い、帰りしなに無断で物干などに適した竹を一本伐って持ち帰った。立春を過ぎた竹は虫が蝕むという言い伝えがあるので、正月中に物干竿を作っておこうと午後に節の周りを鉈で削り取っていたところ、竹が廻ったのか鉈が滑ったのか、左手の甲へ鉈が当たり三針縫う怪我をした。山の神が遊んでいたかも知れない竹林で青竹を伐ったことを大いに反省し、以後は一月一六日に山林へ入らないことにしているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。