枯れた御神木のタモに立つ夜の虹
どんな伝承か
語り手の生まれた村は津軽平野のまん中にある。集落の中央あたりにこんもりとした神社があり、林のまん中に、村の年寄りたちが御神木と呼ぶ「タモの木」が一段と高くそびえていた。樹齢は約五百年、根元の周囲約七メートル、高さ約三三メートルの老大木である。昭和三三年頃、県道の舗装工事で根を相当切られたせいか、木は春になっても芽を吹かなくなった。やがて枯れた木のてっぺんに、夜、虹が出るという噂が広まった。暗い夜に赤や緑や紫が一瞬あらわれては消えるといい、年寄りたちは木の霊魂がまだ残っているのだと言い合った。倒された日、老木の頂には名も知らぬ草花がいっぱい咲いていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)