徳利を提げた常念坊の雪形
どんな伝承か
昔、日暮れになると決まって一人の僧が、小さな徳利を手に田多井の酒屋へ酒を買いに来た。不思議なことに、その小さな徳利には望むだけいくらでも酒が入ったという。酒を買った僧は常念岳の方の暗がりへ消えていくので、誰もが常念岳の主である常念坊だと噂した。今も春の雪解けの頃には、常念岳の東の斜面に、徳利を提げた僧の姿の雪形が現れるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第3巻 3 (中信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第3巻(三) 中信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち中信地方の巻から、伝説の章を抜き出したものである。木・石・水・塚・坂と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌などに分けて、松本・塩尻・安曇野・大町・北安曇・木曽に伝わる言い伝えを短い条で並べる。抜き出しの際に多くの条から採集地の表示が落ちており、土地の名が本文に書かれない条も少なくない。