和尚の傷を引き受けた身代わり如来
どんな伝承か
昔、村上の十輪寺に盗賊の一団が押し入り、目ぼしい宝物を奪って逃げた。立ち向かった和尚は刃物で喉を突かれて倒れた。騒ぎを聞いた人々が刃物を手に追い、宮の下の渡し場まで追い詰めて何人かを討ったが、半分は取り逃がした。助かるまいと思われた和尚の傷は、不思議なほど早くふさがっていった。生死の境をさまよう和尚の夢に後光を負った阿弥陀如来が現れ、自分が身代わりになるから案ずるなと告げたという。掛け軸の如来をよく見ると喉に刀傷があって血が流れており、和尚が治ったのは如来が傷を引き受けたおかげだとされる。
原典より
昔、村上の十輪寺に盗人たちがドヤドヤと押し入って、めぼしい宝物を盗んで逃げた。—— 村上市史 民俗編 下巻(村上市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村上市史 民俗編 下巻(村上市史)
『村上市史 民俗編 下巻』は、新潟県村上市の市史の民俗編から、口承の節(伝説・世間ばなし・謎とことわざ)を抜き出したものである。地名・神社・寺や仏・地蔵・水・人・動植物・塞の神・杖の跡に分けた伝説と、狐や河童、火の玉、山の神などの世間ばなしを、土地の言葉の語りのまま採集地を添えて収める。義経が跳び越えた一跳山、三面川の小助島、岩船の大火など、村上市内の土地に結びついた話が中心である。