大沼池の大蛇が流す予言の無縫の塔
どんな伝承か
昔、大沼池の主の大蛇は荒くれ者で、池の底を住みかに暴れ回っていたが、竜王の怒りに触れて罰に苦しむ身となった。迷いから覚めた大蛇は仏道に励もうと、若い僧に化けて毎日池から下りては温泉寺の住職に師事し、ついに受戒した。恩返しに月ごとに立派な膳や椀を届けたが、それを騙し取る者が出てぴたりと絶えた。その後、大蛇が横湯川に流す丸石が寺の池端に現れ、境内に入ると住職が死ぬか寺を移る変事が起きた。この予言の石を『無縫の塔』と呼んで境内に建て、二十四基ある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
長野県史 民俗編 第4巻 3 (北信地方 ことばと伝承)(長野県史)
『長野県史 民俗編 第4巻(三)北信地方 ことばと伝承』は、長野県史の民俗編のうち北信地方の伝説の章を抜き出したものである。植物・石・水・塚・坂と峠・山・沢と道・城と屋敷・田と原・地蔵や観音・社寺・地名・禁忌の順に、条ごとに採集地を添えて短い伝えを並べる。戸隠の鬼女紅葉、黒姫と大沼池の大蛇、久米路橋の人柱、秋山郷の平家伝説など、善光寺平から奥信濃にかけての土地に結びついた話が多い。