死の間際にお山へ登る姿
どんな伝承か
恐山では、重い病で死にかけた人が息を引き取る直前に、その姿をお山に現すことがあると言われる。かつて田名部の金森菓子店の職人が急な病で亡くなったとき、死の間際の騒ぎのさなかに、その職人がお山へ登っていくのを途中の冷水の辺りで見た人がいた。また田名部の横町に住み、長く病んでいた石切り職人の畠庄作が死んだときも、湯坂の辺りで確かに庄作に会ったという者があった。こうして出歩く瀕死の人は姿が見えるだけで衣ずれも足音もせず、すれ違って振り返るともう消えているものだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。