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地蔵堂の石段で消えた妻女

所在地青森県むつ市大字田名部(恐山菩提寺)
年代伝承(口承)
登場熊谷全村、亡くなった女の夫
出典むつ市史 民俗編

どんな伝承か

田名部の熊谷全村という人の妻が亡くなったときの話である。真っ昼間、湯坂の下り口で、空色の着物の胸をはだけ、切り株に笠を敷いて微笑みながら赤子に乳をやるこの妻女を、三人もの人が見た。重い病で床についていると聞いていたのに、こんな険しい道を赤ん坊連れでと不思議に思ったという。三人がお山の寺の茶の間でその話をしていると、夕暮れの山門をくぐって当の女房が石畳を歩いてくるのが見えた。大勢が見守るなか、女房は地蔵堂の石段まで行くと、吹き消された灯のようにふっと姿を消した。そこへ田名部から飛脚が着き、全村の妻がたった今息を引き取ったと知らせたという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

むつ市史 民俗編(むつ市史)

『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。

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