溺れた子を下から支えた河童
どんな伝承か
横迎町は昔、田名部川の改修工事の足場になった所で、あるとき流れが急に変わり、菊池家の近くの深い淵が夏のうちに埋まってしまった。この淵には昔から河童がすむと言われていた。ある夏、淵の近くで洗濯をしていた親類の子のうち、男の子が急に川底へ引きこまれた。人々は騒いだが深くて手が出せず、見ていた菊池氏が飛びこんで潜り、男の子を抱えて浮かんできた。子は気を失っていたが命は助かった。その夜、菊池氏の夢に大きな河童が現れ、溺れる子を下から支えたのは自分だ、もう悪さはしないから毎年初物のきゅうりを川に流してほしいと頼んだ。以来、横迎町では初きゅうりを川へ流すようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。