河童の子を産んだ娘と後家
どんな伝承か
昔、むつ市大平の荒川の上流に、由緒ありげな後家とその娘が暮らしていた。後家は娘に立派な婿を迎えて家を立て直したいと願っていたが、男手がなく暮らしは苦しくなる一方だった。やがて娘のもとへ夜ごと通う男が現れ、男が運んでくる食べ物や財宝で暮らし向きはようやく楽になった。ところが、通ってくる男は河童だという噂が立って里に広まった。娘は身ごもり、月が満ちて産んだのは恐ろしい顔の異形の子だった。娘はそれを恥じてふさぎこみ、産後まもなく亡くなり、悲しんだ後家も荒川の淵に身を投げた。この母娘は昔荒川の丘にあった巣鷹城の主竹花氏の後室とも、その家臣の後室とも言われる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。