刳り舟の中で見つかった神隠しの子
どんな伝承か
宇曽利川のある家の男の子が、夜中に小便に起きたついでに、昼につかまえたものに夜露を吸わせると言って裏の畑へ出たきり戻らなかった。家の者も初めは気にしなかったが、いつまでも帰らないので探しても見つからず、大騒ぎになって集落じゅうから人を出し、夜明けまで辺りを探した。翌日は周りの山まで捜したがわからず、夕方疲れた人々がその家に集まって話していると、軒下に積んであったジャガ芋の澱粉を作る刳り舟がかたかたと音を立てた。起こしてみると、中で男の子が眠っていた。本人は何も覚えていなかった。マジャガのマン子が連れ出したものの、村中が松明をともして騒いだので返してよこしたのだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
むつ市史 民俗編(むつ市史)
『むつ市史 民俗編』の口承の章から、下北に伝わる伝説と世間話を抜き出したものである。苫生野や田名部川の口碑、蠣崎氏や落人の宝の伝え、恐山の開基と天狗・霊話、常念寺の仏、横迎町の竜神と河童、行人塚、半太窪、飯綱の噂、奥内・関根・大湊・田名部の狐の話などを収める。菅江真澄の紀行の記事を引きながら、むつ市とその周りの土地の伝えをまとめている。