バクチ石の狐に奪われたサンマ
どんな伝承か
北方の清水から岡谷地を経て加保へ抜ける道の途中に、バクチ石という大きな石室がある。昔ここで博打を打ったことからその名がつき、あたりは狐の巣になっていた。福おんつあがサンマを一貫目買い、こもに包んで肩にかけ、家路を急いでいたときのこと。バクチ石までは覚えているが、そこから先は山から山へと引き回され、明け方にようやく家へ帰り着いた。サンマは一匹残らず消え、頭や着物には狐の毛と松や杉の葉がびっしりついていた。今から六十年前の実話だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
平田村史 第3巻 (民俗編)(平田村史)
『平田村史 第3巻(民俗編)』の昔話と伝説の章から、伝説と世間話の節を抜き出したものである。福島県石川郡平田村の大字・字ごとに、八幡太郎義家や日本武尊にまつわる地名の由来、河童石、姥捨ての十石山、平堂内の大蛇、鶴殺し南兵衛、狐に化かされた村人の話などを収める。阿武隈の山あいの村に残る、石と塚と小さな祠にまつわる伝えが中心である。