メザシを狙った狐の化かし
どんな伝承か
北方の田麦の人が、小雨の降るなかメザシを背負って帰る途中、土手の下の縁を歩くと落ちそうなので上の縁を歩いていた。するとどんどん上へ登ってしまい、いつの間にか別の道に出ていた。妙な所へ来たと思っていると、何かが蓑をかさこそと触ってくる。そのときは狐だとは思わず、人の通る道へ出て家へ帰ろうと坂を登り始めると、後ろから両足を引っ張られて転んだ。はっと我に返ると、買ってきたメザシは一匹も残っていなかった。メザシ欲しさに狐が化かしたのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
平田村史 第3巻 (民俗編)(平田村史)
『平田村史 第3巻(民俗編)』の昔話と伝説の章から、伝説と世間話の節を抜き出したものである。福島県石川郡平田村の大字・字ごとに、八幡太郎義家や日本武尊にまつわる地名の由来、河童石、姥捨ての十石山、平堂内の大蛇、鶴殺し南兵衛、狐に化かされた村人の話などを収める。阿武隈の山あいの村に残る、石と塚と小さな祠にまつわる伝えが中心である。