熱海旅館の再調査と怪事
どんな伝承か
熱海の幽霊旅館事件には後日談がある。三浦朱門が帰宅してこの話をすると、以後三浦家では愛用の自動車のタイヤの空気が繰り返し抜けるという怪現象が起きた。二か月後、遠藤周作のもとに見知らぬ青年から電話があり、同じ旅館の同じ離れで「セルを着た若い男」の霊を見たと語った。遠藤は四か月後に旅館を再訪し、そこがかつて役者の別荘で、持ち主は落ちぶれて手放したらしいと聞き込んだ。さらに二年後、カメラマンと教え子を連れて再訪した際は幽霊こそ出なかったが、内側から鍵をかけたはずの窓が開いているという怪事に遭遇し、以後遠藤は「お化け屋敷探訪」記事を手がけるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。