菊池寛が見た女の幽霊
どんな伝承か
昭和十一年一月、菊池寛は毎日新聞主催の四国講演旅行中、浜本浩・壺井栄・日比野志朗・佐多稲子と共に今治市を訪れた。宿の名をS旅館と答えると、出迎えのMが怪訝な顔をした。菊池は講演の順番待ちで二階の部屋に一人でいた際、何かに遭遇したらしい。固く口止めしていたが、後に佐多稲子が浜本に話してしまい、菊池の部屋に幽霊が出たことが知れた。小林秀雄の記録によれば、洋服のまま床に入っていた菊池は、廊下を痩せた男がうろついているのを硝子戸越しに見たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。