乃木大将と金沢の三階の女
どんな伝承か
乃木大将が軍務で加賀金沢へ赴いた折、古びた三階建ての宿屋に泊まり、見晴らしのよい三階の部屋で二夜続けて幽霊に悩まされた。宿の婆さんが理由もなく床を二階に敷いてしまい、強いて三階に寝ると、夜ごと若い女が枕元に座り、夜具越しに顔を寄せてくる気配がして跳ね起きても誰もいない。三晩目、婆さんが「もう今晩からは二階でお寝みなさい」と勧め、乃木は降参した。後で聞けば、その旅館の主人がかつて妻を殺し三階の部屋に縛りつけたため、妻が恨みを飲んで死んだのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年))
『心霊現象の科学』は、小熊虎之助が心霊現象を科学の立場から論じた研究書で、序とあとがきに昭和四十九年四月の日付がある。コックリ・自働書記・読心術・憑きものなどの偽心霊現象と、精神感応・幽霊・交霊などの真実の心霊現象とを分けて検討し、福来友吉による三船千鶴子・長尾夫人・高橋夫人・三田光一の透視・念写の実験も取り上げる。全五章に参考書目を付し、あとがきでは井上円了以来の日本の心霊現象研究史を概説する。