床下のカメから出た血の自画像
どんな伝承か
昭和三十九年十一月、下男の源兵は何かの用で屋敷の床下を掘っていて、スコップの先が固いものに当たった。掘り出したのは古く大きなカメで、源兵は先祖の財宝かと内心期待したという。ところが詰め物を取り除くと、中から現れたのは、かつて行者が告げたとおりの、古い和紙に鮮血で描かれた自画像だった。描かれて百年以上たつはずなのに、血の色は鮮やかで生々しかった。英男はこの絵を寺へ持ち込み、お祓いを受けて処分してもらった。だが見つかるのが遅すぎ、そのときには英男のほかの一族はみな、絵を描いた者の悪霊にたたられてしまっていたと源兵は語った。
原典より
古い和紙に、鮮血で自画像が書かれており、書かれてから、百年以上たっているというのに、血の色は鮮やかで、まだ生々しい感じだったのです。—— 恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年))
『恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話』は、中岡俊哉が一九七六年に著した『悪霊があなたを狙う』(双葉社)のうち、まえがきと目次、第一話「“幽霊屋敷”悪霊のたたり」を収めたものである。千葉県館山市上野原の網元本間家で、娘の神隠しを発端に一家が絶えるまでの出来事を、元下男の源兵じいさんが著者に語った聞き書きの形で記す。目次には悪霊憑依の実話十一話の題と、霊魂の存否と悪霊対策を論じる「悪霊を除く法」の章が並ぶ。