吾妻橋の板に吸い込まれた娘
どんな伝承か
飯田豊太郎の『怪談千一夜』に「橋の上」という一話がある。用人だった父を亡くして身寄りをなくした娘が屋敷に引き取られると、主人が心を寄せて夜ごと言い寄るようになった。逃げ場のない娘は日を切って返事を延ばし、その期日が来た朝、外出したいと願い出る。疑い深い主人がひそかに後をつけていくと、娘は父が急死したという吾妻橋の上まで来て、ふわりと橋板に吸い込まれるように姿を消してしまった。筆者は、生殺与奪を握られた身にはこう消えるほかなかったのだろうと評している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の科学――幻覚の心理を探る(中村希明・中村希明・精神医学・昭和(精神医学))
幽霊や怪異を脳と心理(幻覚)の科学で解明する。