知人の家を巡った青い火の玉
どんな伝承か
ある雑誌の編集者が語った話。A君はその頃小学生で神田に住んでいた。夏の夜、近所の大人と夕涼みをしていると、青い火のかたまりがふわふわと宙をただよいながら現れ、次々に何軒かの家の窓から中へ入っては出て来た。面白半分に後を追って行くと、火は一軒の家の窓に吸い込まれたきり出て来なかった。その家は同級生B君の家で、入ってみると中は騒然としており、たった今B君の祖母が死んだところだという。火は祖母の魂が知人の家へ挨拶回りに出たものだろうと語られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。