道後温泉の宿で枕元に座った女
どんな伝承か
作家の菊池寛が生前よく語っていたという体験。ある夏、四国の道後温泉の宿に泊まっていた菊池が午前三時ごろふと目を覚ますと、青ざめた若い女が枕元に座っていた。驚いてよく見定めようとしたときには、もう姿は消えていた。翌日、ここで何かなかったかと宿の者に尋ねると、以前いじめられるか何かして亡くなった女中がいたという。年ごろや様子を詳しく聞くと、前夜に見た女の印象とよく合っていた。菊池はこのことがあってから、心霊を信じるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。