竹富小学校の校庭で砕けた頭蓋骨の祟り
どんな伝承か
大正七、八年ごろ、独学で准訓導の試験に受かり竹富小学校の教員になった仲良しの青年三人が、放課後に海岸を散歩していて阿旦の葉陰に転がる頭蓋骨を見つけ、教材にと持ち帰った。校庭でふざけて投げ合ううち、受けそこねた一人の前で頭蓋骨は石に当たって砕け、三人はかけらを校庭の隅に埋めた。その晩から宿直室の外で野良猫と梟が毎晩鳴くようになり、三人は祟りを恐れて神経を病んだ。やがて島に残った一人は、榕樹の枝に逆さに下がる女を見て息絶え、那覇へ移った二人のうち、頭蓋骨を見つけて最初に投げた一人は、下宿の庭で、同じ女が木の枝から逆さに下がっているのを見て死んだ。残る一人が病院の死体収容室でただ一人通夜をしていると、丑満どきに電灯が消え、両の手のひらに蝋燭をともした白衣の女が近づいてきて、その一人も倒れたまま死んだという。
原典より
Cは受けそこねて、頭をかいていたが、頭蓋骨は石にあたって、こっぱみじんに砕けてしまった。—— 沖縄怪談集 逆立ち幽霊(伊波南哲) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
沖縄怪談集 逆立ち幽霊(伊波南哲)
『沖縄怪談集 逆立ち幽霊』は、石垣島で育った詩人の伊波南哲が、新聞や雑誌に書いた話と書きおろしを合わせ、沖縄の怪談を物語風に綴った怪談集である。那覇の辻遊廓や一日橋、首里、石垣島・竹富島などを舞台に、遊女や捨てられた女の幽霊、遺念火、キジムナー、お化け封じの術を描き、戦後のタクシー幽霊の噂や東京で起きた位牌の嫁入りの話も取り上げる。題を付けた二十二話のあとに「怪談断片集」を置き、少年時代を語る「果たして幽霊はいるのか」で結ぶ。