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石門が写した成仏を願う幽霊

所在地福岡県八女市黒木町木屋(光善寺)
年代享和三〜明治二五(木屋石門の代)
登場木屋石門、光善寺の住持(享和三〜明治二五)
出典炉辺叢書 筑紫野民譚集

どんな伝承か

筑後八女郡木屋村の真宗光善寺にも、幽霊の絵と呼ばれるものが伝わる。住持の木屋石門は学問と徳に優れた人で、今も境内に碑が立つ。ある夜更け、石門が心静かに書物を読んでいると、障子がすっと開いて音もなく何かが入ってきた。振り返ると、青ざめた顔に髪を振り乱した恐ろしい幽霊で、死に際にこの世への未練を残して成仏できずにいる、御教えの功徳で救ってほしいと頼んだ。石門は快く引き受け、鉦を手に声高く経を読むと、幽霊の顔に喜びの色が広がった。立ち去ろうとする幽霊を呼び止めて待たせ、その姿を写し取ったのがこの図で、今も彼岸会に掛けて供養されるという。

原典より

そして口を開いて『臨終の際この世に未練をのこし未だに成佛が出来ずに漂浪して居るから御教の功徳によつて成佛させて頂きたい。』こ懇願するのであつた。—— 炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

炉辺叢書 筑紫野民譚集(及川儀右衛門・1923年(大正12年))

『炉辺叢書 筑紫野民譚集』は、及川儀右衛門が筑紫野で暮らした二年ほどの間に、土地の故老や下宿の老婆から聞いた話、教え子が書き送ってきた物語を文献とも照らしてまとめた民譚集である。筑後を中心に筑前・肥前・肥後・豊前・豊後の河童、怪火、長者の話、神事と歌舞、山と水の伝奇、狐狸や幽霊の怪異を六篇に分けて収め、多くの話に古記録を引いた〔註〕を添える。序の日付は大正十二年六月である。

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