亀と鰻の合戦と洪水の警告
どんな伝承か
江合川が敷玉村の付近で鳴瀬川に合流していたころ、その落合の御倉場あたりでの話である。番小屋で網を繕っていた番人のもとに白ひげの老人が訪れ、自分は江合川の主の鰻だが、明晩丑の刻にこの落合で鳴瀬川の主の大亀と縄張り争いの決闘をする、しっかりやれと声援してくれれば勝てると頼んだ。翌る日の夜更け、湖のように広い落合の川面は水が逆巻き、異様な呻き声が湧き起こって鰻と亀の戦いになり、番人の声援もあって大亀は敗走した。鰻は礼に破れることのない網を贈った。数年後の二百十日の暴風雨の夜、白衣の大男が鉄杖を鳴らして大洪水の襲来を部落中に触れ回り、村人は丘に避難して事なきを得たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(茂木徳郎(「妖怪 幽霊」の章)・宮城県史シリーズ)
『宮城県史 民俗編』は宮城県の県史の民俗編で、ここに収めるのは茂木徳郎が執筆した章「妖怪 幽霊」である。山・道・木・水・海・雪・家など出現の場所による分類に沿って妖怪変化を論じ、幽霊とヒトダマ・死霊・生霊の観念を考えたうえで、県内の妖怪・幽霊・動物変化の伝承を郡・町村名を添えて集める。序説・本論・事例篇・参考の順に並び、序説では昭和二十四年の迷信調査と昭和三十年のNHK仙台中央放送局の調査にも触れる。