水神橋の女と消えた鰻の籠
どんな伝承か
大久保原町で魚を商う龍介が、ある夜、仲間二人と目白下の水神橋のたもとへ鰻を釣りに出た。思いのほかよく釣れて籠が一杯になり、龍介は帰ろうと言うが、連れは名残を惜しんで糸を垂れ続ける。そのうち橋の上を若い女が行きつ戻りつしはじめた。身投げに違いないと二人で岸へ上がり、事情を尋ねると、継母に憎まれ思う男とも添えないのだと泣く。なだめて家まで送ろうと道具の所へ戻ると、籠の鰻は一匹残らず消え、女の姿もなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
科学的教養(小泉丹・小泉丹・科学論・1948年(昭和23年))
『科学的教養』は、小泉丹が昭和二十三年に春秋社から刊行した、科学的なものの見方を説く評論である。精確さ・合理性・実証の面から科学的と非科学的の違いを論じ、河童の記録や呪いの効き目、『耳袋』の怪異談、狐憑き、幽霊・化物屋敷、人魂・鬼火・怪火を例に、日本人のものの考え方を検討する。昭和十七年に書いた前版を戦後に改稿したもので、序と起序に続く七章から成り、旧稿の終わりの二章を除いたと序に記す。