炊事婆お菊に養われた白狐の親子
どんな伝承か
渡波に、慶長の頃の開山と伝わる曹洞宗の法巡山宮殿寺がある。境内には護法白山妙理大権現の御堂があり、寛政の頃の第九世住職円戒は殊に護法の僧として尊信された。寺の背後の深い林には年経た夫婦の白狐が棲んでいたが、ある年、陸も海もひどい凶歳に見舞われ、生まれたての七つ仔を抱えた白狐は餌に窮した。これを救ったのが信心深い炊事婆のお菊で、食事の余り物や屑菜をこっそり与えた。白狐の姿はお菊にだけ見えたという。やがて母狐は素封家の法事の夜に方丈へ化けて膳部にありつこうとして犬に見あらわされ、深手を負った。子狐たちは人に化けて食物を騙し取り母狐を養い、お菊狐、ねんねこ狐、喜八郎狐と名づけられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(宮城県史シリーズ・昭和中期(推定1960-1970年代))
宮城の民間信仰と禁忌(宮城県史民俗編)/禁忌を破る祟りと火玉/河童・狐狸の怪/年中行事と俗信/地域の幽霊・妖怪伝承