宿毛の海で捕れた犬頭人面の怪魚
どんな伝承か
昭和四年の六月から、高知県宿毛港の外の漁場を荒らし回る怪物が出るようになった。大島漁業組合などは県に捕獲を願い出たが、怪物は神出鬼没で、天気のよい日には海の岩に腰かけて人をからかうような素振りを見せ、近づくとすぐ海に潜ってしまった。十月十九日の夜十一時ごろ、宿毛町の大島漁業組合の人々が今日こそはと大島へ船を出し、鹿岬のあたりで怪物を見つけると網で囲んで、ようやく捕らえた。頭は犬、顔は人間、尾は魚という奇怪な姿で、目方は二十貫を超え、人々は人魚ではないかと噂し合ったという。
原典より
六月以来、高知県宿毛港外の、漁場を荒しまわる怪物があるので、大島漁業組合その他では、県に捕獲願を出して、これを捕えようとあせったが、怪物は全く神出鬼没で、なかなか捕えることができなかった。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。