E室を通さずに写った方形と丸形
どんな伝承か
長尾夫人の念写には、実験の前に乾板を長尾家の玄関脇の一室にしばらく置かせ、見張りも付けさせないという条件があった。著者はこの部屋をE室と呼び、山川博士の厳密な実験で疑いが濃くなった以上、この部屋を通った念写は何度成功しても学術的な値打ちはないと言う。福来博士が成功させた込み入った文字の念写も、ほとんどが封もなくこの部屋に置かれたものだった。ただ、置かずに成功した例が二つだけある。一つは、部屋に置いたように見せかけて博士が乾板を片時も身から離さなかった場合で、方形が写った。もう一つは、題が出る前には部屋に置いたが、題が決まってからは見張りのできる別室に隠した場合で、ぼんやりした丸形が写った。
原典より
ただしかし、幸にもE室におかれずして念写が成功した二つの場合があった。—— 心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象の科学(小熊虎之助・1974年(昭和49年))
『心霊現象の科学』は、小熊虎之助が心霊現象を科学の立場から論じた研究書で、序とあとがきに昭和四十九年四月の日付がある。コックリ・自働書記・読心術・憑きものなどを心理学で説ける偽心霊現象とし、精神感応・交霊・千里眼・心霊物理現象を真実の心霊現象として心霊現象研究会の報告から吟味する。福来友吉が能力者とした三船千鶴子・長尾夫人・高橋夫人・三田光一の透視と念写は山川健次郎らの実験と照らして疑い、あとがきでは井上円了以来の研究史を概説する。