旅籠で駒の精を吸うろくろ首
どんな伝承か
享保十一年のことである。白河の城下の旅籠に庄内藩の一行が泊まり、馬小屋には殿さまの乗馬である見事な栗毛の駒がつながれた。見張りの者が寝ずの番をしていたが、夜更けにうとうとしはじめた。翌朝、栗毛の駒はどこか元気がなかった。馬奉行は、夜のうちに馬が精を吸い取られたらしい、見張りもいたのだから馬小屋に近づける者はいないはずだがと首をかしげた。その旅籠には一人の旅の女が泊まっていた。女は栗毛の駒を見て駒のものが欲しくなり、皆が寝静まった頃に首を伸ばして駒の股を吸ったのである。庄内の殿さまの駒は弱ったまま江戸へのぼり、奥州へ下るろくろ首の女は、獣のように街道を駆けていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承