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松坂の福神社で起き直った椋の大木

所在地三重県松阪市(福神社)
年代伝承(口承)
登場(類話)
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

伊勢の松坂の入口の左側に松崎屋という立場茶屋があり、その脇の細道を三十間ほど入った所に福神社という小さな祠があって、そばに三抱え半の椋の木が一本立っていた。天保八年八月十四日の午前十時ごろの大風で、この木が根こそぎになって隣の民家へ倒れかかり、家も少し傾いた。里人は、神木だからこのままにはしておけない、人足を集めて元のように起こさねばと話し合っていた。ところがその夜、怪しい物音とともに椋の木がひとりでに元どおり起き直ったので、里人は周りに竹を立ててしめ縄を張り、いきさつを書いた札を立てて神慮の畏さを示したという。

原典より

然るにこの椋の木が、その夜の子の上刻(午後九時)怪しき物音と共に自から元の如くに起直つたから—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

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