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杖で打たれた火の玉と肩の痣

所在地東京都墨田区
年代伝承(口承)
登場中村剛庵、火の玉を杖で打った代診の医師
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

中村剛庵が若いころ東京本所の医者の代診をしていた時のこと。夜、外出から帰る途中、空中一丈あまりの所に、一尺ほどの丸く青い火の玉がふわふわと上下しているのに出会った。剛気な中村は洋杖で打ち落とそうと二、三度振るい、逃げる火の玉を数町追いかけたが、火の玉はある屋敷の門内へ入って消えた。目印に門扉へ泥を塗って帰ると、間もなくその家から往診の依頼が来た。病人の妻女は中村の顔を見るなり夜具をかぶって診察を拒み、師の医者が行くと、外で楽しく遊んでいたら、あの代診に杖で肩を打たれ追い回されたと訴え、肩には黒い痣ができていた。物質論者だった中村は、この一件から霊魂不滅を信じるようになったという。

原典より

病婦が、あの代診に私はヒドイ目に遭はされた、面白く外で遊んで居る所を、洋杖にて強く肩を打たれた上に追掛けられ、命からく帰つて夫からは起きられぬほどに痛いのですと告げて—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

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