手のひらの経文から現れる虫
どんな伝承か
虫封じの術という呪いで体の毒素が虫となって出るという噂を追い、記者は関西で西宮市の藤村宮城を訪ねた。指から虫を出すおばはんと呼ばれる四十八歳の女性である。実験のため東京へ同行し、深夜十一時半、東京12チャンネルの楽屋で術が行われた。最初に正座したのは十五歳の歌手桜田淳子で、藤村は観音経の一節を唱えながら、墨をふくませた筆で両の手のひらに直径一センチほどの小さな経文を右回りに書いた。数秒後、天眼鏡で覗くと、もやもやとした虫がふわりと吹き出していたという。続いて松島トモ子の右中指からも三、四ミリの虫が現れた。
原典より
円了博士の推察マジナイ療法なつかしきお化けたち蓑虫・蓑火・みのぼし / かまいたち / 釜鳴り / サアテ、お立ち合い。—— お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けについてのマジメな話』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した幽霊とお化けをめぐる随筆である。自ら主宰する「お化けを守る会」に寄せられた体験談や、大阪の毎日放送のラジオ番組で聴取者が電話で語った話を軸に、前世や霊媒・降霊実験など海外の心霊研究、井上円了の妖怪論、古い記録に見える犬神などの憑きものを取りあげる。体験談から死後の世界、お化けを呼ぶ方法、昔のお化けへと進む八章立てで、巻末にあとがきを置く。