二階の寝床を睨む大坊主
どんな伝承か
岩国の向何某がある夜、二階へ上がって寝ていると、大坊主が現れて向をはたと睨みつけて立っていた。向氏は驚いて起き上がり、脇差を取って斬りかかろうとする気配を見せると、坊主はかき消すように姿を消した。向氏は階下に降り、そのまま続けて水を五杯飲んだという。
原典より
向何某、或夜、二階へ上りて寝て居ける所へ、大坊主顕れて、向をはたと睨みて立ける。—— 岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年))
『岩邑怪談録』は、岩国藩士広瀬喜尚の怪談録に後人の増補と続録を合わせ、岩国徴古館が昭和五十一年に発行した資料集である。岩国周辺で人々が出会った化物・大坊主・生首・怪火・狐狸・天狗倒し・幽霊などの話を収め、藤田葆が編んだ『岩国沿革志』のうちの二冊を底本に、なるべく原文のまま新字に改めて載せる。広瀬の本録に、今田純一の追加、藤田の続怪談録と実事談・変死、静間密の付録五話を続け、巻末に語注を付す。