石橋の上で柿の葉を拾う髪長の童女
どんな伝承か
目加田何某の家の下女が医者のもとへ使いに出され、夜更けに帰る途中、道の石橋の上に二、三歳ほどの怪しい女の子がいた。髪を振り乱し、その髪を一間ほども引きずりながら柿の葉を拾っている。女の身であればなおさら恐ろしく、下女は気も魂も抜けたようになって、足が地につかないまま走って帰った。水をたくさん飲んでようやく人心地がつき、そのことを語ると皆が恐れた。下女はそれ以来、夜に出歩くことができなくなったという。
原典より
目加田何某 君先といふ人の下女、医者の方へ使ひに行き、夜深て帰りける道の石橋の上に、怪しき二三歳計りなる女の子、髪をさばき、其髪を一間引ずりて、柿の葉を拾ひける。—— 岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年))
『岩邑怪談録』は、岩国藩士広瀬喜尚の怪談録に後人の増補と続録を合わせ、岩国徴古館が昭和五十一年に発行した資料集である。岩国周辺で人々が出会った化物・大坊主・生首・怪火・狐狸・天狗倒し・幽霊などの話を収め、藤田葆が編んだ『岩国沿革志』のうちの二冊を底本に、なるべく原文のまま新字に改めて載せる。広瀬の本録に、今田純一の追加、藤田の続怪談録と実事談・変死、静間密の付録五話を続け、巻末に語注を付す。