摩文仁にいまもさまよう霊たち
どんな伝承か
死んで間もない者のマブイ(霊魂)は、どこを拠りどころとしているのか。ユタの伊識春野は、一番の拠りどころは墓であると答える。自分の遺骨が納められ、先祖たちの遺骨もあるからで、他家との共同墓であっても霊界では系統ははっきりしているという。位牌は現世とのつながりの目じるしのようなもので、常に霊がそのもとにいるわけではなく、法事のときだけ拠りどころになる。慰霊の塔も位牌と似たもので、塔に霊が寄り集まっていると考えるのはまちがいだという。ただし塔とは別に、摩文仁ではいまでもたくさんの霊魂がさ迷っており、霊たちが心おきなく成仏できる状態にしてやらねばならないと伊識は語った。
原典より
しかし、慰霊の塔とは別に、摩文仁では、いまでもたくさんの霊魂がさ迷っています。—— ユタと霊界の不思議な話(月刊沖縄社) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ユタと霊界の不思議な話(月刊沖縄社)
『ユタと霊界の不思議な話』は、月刊沖縄社が編んだ、沖縄の霊能者ユタについての取材記録である。那覇など都市地区の有名なユタへの取材をもとに、持ち込まれる相談、ユタになったいきさつ、マブイと霊界の考え方、十二支寺や拝所巡拝の意味を問答の形で記し、依頼者の体験談も添える。序章の体験談と四つの話に続いて、ユタを母に持った子の手記、霊示を書き取る人の話、有名霊能者百二十人の一覧、用語説明を収める。