撮っても写らない魔王の木槌
どんな伝承か
広島市の国前寺に伝わる如意宝ばけもの槌は、稲生武太夫が書いたとされる『三次実録物語』の巻末「槌之次第覚」によれば、魔王から授けられたとき、五十年は誰にも話すなと平太郎が固く命じられた品だった。平太郎はこの言いつけを守り、家を移るたびに木槌の隠し場所を変えていたという。寺に納められてからも秘宝として扱われ、ふだんは厨子に入れて厳重にしまわれている。疋田英親住職は、写真撮影も禁じているが、そもそも撮ろうとしてもなぜか写らないと言われていると語る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。