秀屋形でお豊の方に化けた大猫
どんな伝承か
寛永十七年三月、鷹狩りの責任者として秀屋形に仕えていた千布本右衛門邦行は、藩主鍋島勝茂の寝所に忍び寄る怪しい影に気づき斬りつけたが、妖物は逃げ去った。以後、勝茂の庶子が怪死し近臣が発狂するなど変事が続き、愛妾お豊の方の障子に映る影が大猫であることを本右衛門が見届ける。本右衛門が大槍でお豊の方を突き刺すと、美女は血まみれの大猫と化して庭先で息絶えた。死骸は秀屋形の鬼門にあたる敷地に葬られ、猫大明神として祀られたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。