位牌を十五体作らせた女の大先生
どんな伝承か
夫を亡くした六十五歳のSさんは、十余年来の腰痛が重くなる梅雨を前に気がふさいでいた。友人との電話で、水子の霊は供養しないと長く恨むと聞き、二人の水子に思い当たって、隣の駅の府中にいるという女の大先生に見てもらう気になった。病弱な親類の嫁T子さんを誘って訪ねると、大先生はT子さんを神の使いだと言って前へ呼び、審神者に据えた。T子さんは目つきが変わって飛び跳ね、二時間近く泣き叫んだ末に放心した。位牌を作れと言われ二体で三万円を払う。以後通ううちに位牌は十五にもなり、腰痛は変わらず、T子さんは過労で流産した。
原典より
梅雨をひかえて、Sさん(六十五歳、寡婦)は憂うつだった。—— インチキ霊能力者にダマされるな(松林秀豪・霊感商法・批判) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
インチキ霊能力者にダマされるな(松林秀豪・霊感商法・批判)
『インチキ霊能力者にダマされるな』は、松林秀豪が著した霊感商法への警告の書である。著者のもとで行う「心霊110番」に寄せられた苦情相談をもとに、天国行きの切符や水子霊を持ち出す高額の請求、誓約書による責任逃れ、ドライアイスや映像を使った演出など、霊能相談をめぐる被害の手口を実例で示す。「こんな手口でダマされた」「霊能力とはどんなものか」「インチキと本物の見分け方」の三章に、ダマされないための十カ条とあとがきを添える。