左入切り通しで手まりをつく少女
どんな伝承か
昭和三十四年七月末の夜半すぎ、大型ダンプを駆る男が八王子から昭島へ向かっていた。滝山城址ハイキングコース入口の左入切り通しにさしかかると、雨の降りしきる道の真ん中で、少女がゆうゆうと手まりをついている。警笛を鳴らしブレーキを踏んだが、時速八十キロのダンプは止まりきれなかった——。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。