仏壇入れを探す大家の老婆の霊
どんな伝承か
昭和五十二年六月二十七日の話。以前に大家のおばあさんが住んでいた家を借りて住んでいた頃、そのおばあさんが亡くなり葬儀も終えた真夜中、娘と並んで眠る話者(中島信子)の耳に「ここをあけろ、ここをあけろ」という声が聞こえた。頭上には大家が仏壇を入れていた仏壇入れがあった。障子を開けてやると、仏壇入れの中でコトコトと何かを捜す音がしてやがて静まった。話者の仏壇入れにはがらくたが詰め込まれており、魂が位牌を捜し歩いたのだろうという。四十九日には蛍光灯が落ち、百か日にはガラス戸がひとりでに開閉するなど、怪異が続いた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。