鈴の鳴る戸と和尚の言葉
どんな伝承か
昭和三十七年頃、語り手は深浦中学校に奉職し、夜は深浦定時制高校にも英語を教えに行っていた。下宿は中学校の体育の先生と二人で深浦町の荘厳寺だった。住職の鈴木寛良和尚は定時制高校の主任も務めていたので、夜おそく授業が終わった後、三人でよく本堂で酒を飲んで雑談した。ある夏の夜、例のように酌み交わしていると、カランカランと本堂の玄関の戸が開く音がした。戸には小さな鈴がついていて、開閉のたびに鳴るのである。誰か来たなと玄関へ行くと、開いたはずの戸はぴったり閉まったままで、念のため開けて外を見ても誰もいない。戻ると鈴木和尚が「誰か死んだな」と言い、次の朝、どこかの人が死んだと知らせが来た。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。