新宿駅で会った死んだ同級生
どんな伝承か
昭和二十五年の夏のこと。豊多摩高校で同学年だった語り手と安西君は、ともに東中野に住み、語り手は住吉町、彼は踏切の向こうに暮らしていた。七月のある夕方、語り手は新宿駅総武線のホームで青白い顔の安西君に出会い、言葉を交わして混んだ電車に乗り、東中野でともに降りた。ホームの階段で左右に別れたあと、語り手はふと、安西君はすでに死んだと噂になっていたことを思い出す。公衆電話で友人に確かめると、彼は本当に死んでいた。語り手は震え、背に冷汗が流れたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。