部屋の隅に並んだ前夫と舅姑の首
どんな伝承か
神奈川県鎌倉市の話者(T氏)の話。妻は二人の連れ子を伴って再婚してきた。前夫は病で亡くなる際「いい人がいたら再婚しなさい」と言い遺したという。結婚後、話者は前夫と前夫の舅・姑三人の写真を一度だけ見せてもらった。今から五、六年前(昭和五十一、二年頃)、子供が高校受験勉強に励んでいた時期のこと。夜、寝ようと布団をかぶってふと見ると、部屋の隅に舅・姑・前夫の首だけが綺麗な色で現れた。三人は口をそろえて「子供達をよろしくお願いします」と言い、サーッと消えた。夢かとほおをつねると痛かった。子供を案じて頼みに来たのだろうと話者は語る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。