明治三十年代のこと
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どんな伝承か
明治三十年代、児玉郡のことという。山手にあった大尽の家が没落して売りに出され、治三郎と坂吉の二人が共同で買い取ることになった。古い家を一軒壊せば、材料で二軒の家が建てられる見込みだった。取り壊しの日、大勢で解体に出かけると、八十歳を越えたと思われる白髪の老婆が、太い大黒柱に取りすがって声を上げて泣いていた。老婆は、わしの住む家がなくなってしまう、どうかこの家を壊すのはやめてくれと繰り返し哀願した。一同は仕事に取りかかることができず、そのまま引き上げた。隣家に様子を尋ねると、そんな格好の婆さんはいたが、もう二十年も前に死んでいると言われ、もう一度行ってみると家はもぬけの殻だったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。
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上里町の伝承
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