ピアノの前に座る白いワンピースの女
どんな伝承か
東京都練馬区大泉学園町での話。詩を書くしまなぎさという人から聞いた。彼女は前年まで大泉学園に住んでいたが、そこへ白いワンピースを着た三十代の女性の幽霊がたびたび訪ねてきたという。初めて来た時はピアノの前に座っていたので、娘の友達かと思って挨拶をした。その後も何度もカチッと玄関の鍵を開けて入ってきて、トントンと足音を立てて二階へ上がっていき、娘も一緒にその音を聞いたことがある。娘の友人で占いをみる人からは、この家には音楽を志して不遇に終わった女がもう一人住んでおり、なぎささんなら判ってもらえると言ってついている、と言われた。引っ越す際にもうついてこないでと頼み、今の家では何も起きていないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。