マレー語講習と金米糖のつまみ食い
どんな伝承か
昭和二十年頃の話。弘前東部第五十七部隊から、師団司令部でマレー語の講習を受けることになった。ところが講師の南方帰りの将校はマレー語を全然わからず、入って来て敬礼を受けるとすぐ「五分間休憩」と指示していなくなり、その日の教習はそのまま終わってしまう。受講する者は食糧庫へ行って、乾パンの網袋の中から金米糖をつまみ食いし、夕方になると隊列を組んで部隊へ帰ったという。
原典より
部下をよくいびる上官の軍力のさやに兵隊たちが醤油をいれておいた。—— 現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸)
『現代民話考 ― 軍隊』は、松谷みよ子が編んだ、軍隊と戦争をめぐる現代の民話の集成である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きによって寄せられた話をもとに、十五年戦争を中心に徴兵検査から新兵のしごき、戦地、虐殺や飢え、敗戦、収容所、戦犯、軍隊生活の怪談までを収める。巻頭に序文「明日の民話のために」と論考「軍隊考」を置き、十三の部に分けた各話の末に話者と回答者の名と在住地を記す。