開ければ目がつぶれる土岐家の小箱
どんな伝承か
この箱を開けると目がつぶれる、絶対に開けてはならぬ。これが弘前市の旧家、土岐家に三百五十年伝わる家訓であった。著者は昭和二十一年、海老名家に下宿して小箱の存在を知る。高さ十四センチほどの木箱は古びた和紙に幾重にも包まれ、女あるじのつるが毎朝水を供えて拝んでいた。振ると土か骨のような音がする。まず遠縁の青年が紙を半分ほど剥いだところで見つかり、数年後に両眼を失明した。次に挑んだ会社員Nも昭和二十四年に見つかり、翌年から左目が充血してやがて失明した。つる自身も昭和三十二年に亡くなるころには両眼をほとんど失っていた。著者が開けると、黄ばんだ紙に小さな骨片が包まれていた。
原典より
「この箱を開けると目がつぶれる。—— お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年))
『お化けと幽霊』は、大高興が昭和五十三年に青森市の北の街社から出した、お化けと幽霊と心霊現象の解説書である。仮死からの蘇生の話や霊魂論に始まり、青森県内で撮られた心霊写真の実例、こっくりさんなどの霊界通信法、天狗・寝太り・鎌鼬などに出会った話、幽霊の存在説と否定説・分類・人相学、人魂までを扱う。問答の形でお化けを語る節や観察と記録の手引きを交え、巻末に五十音順の心霊用語集を付す。