近衛歩兵第四連隊
どんな伝承か
昭和十五年の七、八月ごろ、不全痔瘻と診断されて三宅坂にあった陸軍衛生病院に入院し、手術を受けた兵の話。傷が治りかけると、晴れた日には日光による消毒が行われた。木造平屋の古びた病棟の長い廊下に出て、看護兵の指図で日差しに向かい一列に並ぶ。痔の患者は仰向けになって尻を太陽に向け、梅毒で横根を病む者は下腹をめくって日に当てた。庭で草を取っていた老婆たちはこの光景を眺め、長生きはしてみるものだ、昔ならお天道さまの罰が当たると言ったという。
原典より
弘前の軍隊で、背嚢に外套こうくっつけるわけですが、私のように無器用なのは出来ないんで、いつもやってもらった人なんですが、「兵隊ってつまらねえ。—— 現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸)
『現代民話考 ― 軍隊』は、松谷みよ子が編んだ、軍隊と戦争をめぐる現代の民話の集成である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きによって寄せられた話をもとに、十五年戦争を中心に徴兵検査から新兵のしごき、戦地、虐殺や飢え、敗戦、収容所、戦犯、軍隊生活の怪談までを収める。巻頭に序文「明日の民話のために」と論考「軍隊考」を置き、十三の部に分けた各話の末に話者と回答者の名と在住地を記す。