久武山城の問答中
どんな伝承か
久武山城が乱心者の中から弁の立つ四、五人を選んで問答した。神代の事や源平合戦の事をなぜ口走るのかと問うと、一人は『稲荷に仕える身なら、猿田彦大神が天孫を導いた話でも聞かせるのが筋だ』と言い返した。別の女は『われこそは天鈿女命の化身なり。神楽舞と称して我が姿を真似るのは奇怪、以後は慎め』と叱り、髪を振り乱し拍手合掌して狂乱した。無学の山民が神代の故事を滔々と語る様は、山城もほとほと手こずるほど不可解であったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
二つの怪奇な心霊現象(浅野和三郎・1940年(昭和15年))
『二つの怪奇な心霊現象』は、浅野和三郎が著し、心霊科学研究会が昭和十五年に発行した心霊現象の記録で、昭和二十七年に再版された。前篇は土佐国長岡郡豊永郷岩原村で村人数十人が憑きものに狂乱し、藩の役人が祈禱や鉄砲で鎮めた事件を、嘉永六年に野島通玄が記した記録から紹介する。後篇は山梨県北巨摩郡穂坂村の旧家の娘かね代に先祖横森市兵衛の霊が懸かり、盗まれた不動明王の掛軸が戻った因縁を、著者の調査と甲州訪問記を添えて述べる。