壁に現れた「是空」の文字
どんな伝承か
明治四十三年の秋から長野県松本市で透視の修練を積んでいた高橋貞子について、夫の宮二は恩人の弁護士今村力三郎に、透視の実験に使う品を送ってほしいと頼んだ。十二月三日に近く送るとの返事が届き、五日の正午ごろ、貞子は急に左手の壁を見つめ、大きな文字が出ているのが見えないかと夫に尋ねた。夫には何も見えなかったが、貞子は見事な筆跡で「是空」と書いてあると言い、惜しいことに消えてしまったと嘆いた。宮二はとっさに、これは今村が送ってくる実験の文字ではないかと感じ、品が届くのを待ちわびた。
原典より
余はその刹那、右の是空の文字は今村氏が透視実験用として送つて来る文字ではないかと直感し、一日千秋の思いで実験物の到着を待つた。—— 心靈講座(浅野和三郎・心霊研究・講座・1928年(昭和3年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心靈講座(浅野和三郎・心霊研究・講座・1928年(昭和3年))
『心靈講座』は、浅野和三郎が昭和三年に著した心霊研究の講義書である。催眠現象から人間に霊魂が宿ることを説き起こし、欧米の心霊研究の歩みをたどったうえで、物質化・心霊写真・直接談話・卓子浮揚・物品引寄・霊視・霊言・自動書記の各現象を、クルックスやモーゼスらの実験と記録に拠って検討する。第一講から第十講までと結論から成り、結論では心霊研究が人生や信仰に及ぼす影響を論じ、新霊魂説の七大綱領の訳を載せる。